急性期医療検査における重要パラメーター
ABL血液ガス分析装置から得られる重要な血液ガスパラメーター
重要なパラメーターの詳細な説明を掲載したハンドブックをダウンロードできます。
血液ガス
pH - Potential of hydrogen
血液を含むあらゆる液体の酸度またはアルカリ度はその液体の水素イオン濃度[H+]を示すもので、pHは単に水素イオン活量の表現方法に過ぎません。したがって、pHと水素イオン濃度の関係は以下のように表すことができます[1]。
pH = -log aH+
ここで、aH+ は水素イオン活量。
低いpHはアシドーシス,高いpHはアルカローシスに関連づけられます。
pHパラメーターは次の製品で測定できます。
pCO2 – 二酸化炭素分圧
二酸化炭素(CO2)は酸性ガスで、血液中の(CO2) 量は主に呼吸の速さと深さ、または換気により制御されます。pCO2は血液中のCO2分圧です。総CO2量のうち、気体状態のCO2が血漿中に溶解している部分(最大5%)による圧力の割合です[2]。pCO2は酸塩基平衡の呼吸性因子で、肺換気量の妥当性を反映します。換気不全の重症度および慢性状態は、酸塩基状態の変化(「酸塩基状態」)を参照)と合わせて判断することができます。
pCO2パラメーターは次の製品で測定できます。
pO2 – 酸素分圧
血液中の酸素量は換気・灌流など、多くの変数により制御されます。pO2は血液と平衡するガス相の酸素分圧(または張力)です。pO2は血液中の総酸素の内,血漿に溶解した少量(1~2 %)のみを反映します[3]。血液中の残り98~ 99 %の酸素は赤血球内のヘモグロビンに結合しています。 pO2は、肺における酸素摂取の指標です。
pO2パラメーターは次の製品で測定できます。
電解質
cNa+ – ナトリウム
ナトリウム (Na+) は細胞外液中の主要な陽イオンで、細胞外液中の濃度(~140 mmol/L)は、細胞内液(~10 mmol/L)よりも14倍高くなっています。 Na+は細胞外液の浸透圧に大きく寄与し、水分バランスの制御と調整、血圧の維持の機能を果たしています。また、Na+は神経興奮(インパルス)の伝達や筋収縮活動の機序においても重要です。
cNa+ パラメーターは次の製品で測定できます。
cK+ – カリウム
カリウム(K+)は細胞内液中に存在する主要な陽イオンで、その細胞内液中濃度(組織細胞中では~150 mmol/L、赤血球中で~105 mmol/L)は、細胞外液(最高 4 mmol/L)よりも25~37倍高くなっています[7, 8]。K+は体内で様々な重要な機能を果たします。たとえば、神経筋の興奮性の調整、心拍リズムの調整、細胞内液・細胞外液量や酸塩基状態の調整などです。
cK+ パラメーターは次の製品で測定できます。
cCa2+ – カルシウム
カルシウムイオン (Ca2+) は生体内の主要な陽イオンの1つで、血液の細胞外液中におけるその濃度は約1%です。Ca2+は骨石灰化や、心臓および骨格筋系の収縮、神経筋伝達、ホルモン分泌や血液凝固における一連の反応においてなど、様々な細胞レベルのプロセスで重要な役割を果たします。
cCa2+ パラメーターは次の製品で測定できます。
cCl- – クロライド
クロライド (Cl-) は細胞外液に多く存在する陰イオンであり、血液中で最も重要な陰イオンの一つです。Cl–の主要な役割は、浸透圧、体液平衡、筋活動、血漿中のイオン中性度の保持で、酸塩基平衡障害の原因を知る一助となります。
cCl- パラメーターは次の製品で測定できます。
代謝項目
cGlu – グルコース
グルコースは人の代謝系において最も大量に存在する炭水化物であり、細胞内の主要なエネルギー源(ラクテートを参照)としての役割を果たします。グルコースは主に食物由来の炭水化物から得られますが、(主に肝臓と腎臓により)糖新生の同化作用を通して、また、グリコーゲン分解からも産生されます。この内生的に産生されるグルコースは、食間、絶食中など、食物由来のグルコースが得られない場合に、血中グルコース濃度を正常な範囲内に維持するのに寄与します。
cGlu パラメーターは次の製品で測定できます。
cLac – Lactate
ラクテートは、乳酸の解離で生じる陰イオンであり、グルコースの細胞内代謝産物です。嫌気的なエネルギー産生(解糖)時に、骨格筋細胞、赤血球、脳や他の組織で産生されます。ラクテートは細胞内液でピルビン酸から生成され、乳酸脱水素酵素(LDH)がその生成反応を触媒します[4]。
cLac パラメーターは次の製品で測定できます。
cCrea – クレアチニン
クレアチニンは、筋肉細胞内のエネルギー生産に非常に重要な分子であるクレアチン由来の内因性筋肉代謝産物です。クレアチニンは尿を通して体外に排出されます。その血中濃度は糸球体濾過率を反映しているため、腎機能を反映します。
cCrea パラメーターは次の製品で測定できます。
オキシメトリー
ctHb – 総ヘモグロビン
血液中の総ヘモグロビン(ctHb)濃度には酸素化ヘモグロビン(cO2Hb)、脱酸素化ヘモグロビン(cHHb)だけでなく、酸素を結合できないヘモグロビンであるカルボキシヘモグロビン(cCOHb) (COHbを参照)、メトヘモグロビン(cMetHb) (MetHbを参照)、スルフヘモグロビン(cSufHb)のようなあらゆるタイプのヘモグロビンが含まれます。
したがってctHbは以下のように表すことができます。
ctHb = cO2Hb + cHHb + cCOHb + cMetHb + cSulfHb
スルフヘモグロビンは非常に稀であり、ほとんどのオキシメーターでは、報告されるctHbの中には含まれていません。.
ctHb パラメーターは次の製品で測定できます。
MetHb – メトヘモグロビン
FMetHbは総ヘモグロビン(ctHb) 中に存在するメトヘモグロビン(MetHb)の割合です。従来単位では百分率(%)で表されます[1]。
MetHb(a)はほとんどの医学文書において、単にMetHbと称されます。
MetHb パラメーターは次の製品で測定できます。
COHb – カルボキシヘモグロビン
FCOHbは、総ヘモグロビン(ctHb)中に存在するカルボキシヘモグロビン(COHb)の割合です。従来単位では百分率(%)で表されます。
0~60%の範囲では,動脈血中のCOHb(COHb(a))と静脈血中のCOHb(COHb(v))はほとんど同じですので、静脈血、動脈血のどちらで測定しても構いません[5]。FCOHb(a)はほとんどの医学文書において単にCOHbと表記されます。
COHb パラメーターは次の製品で測定できます。
sO2 – 酸素飽和度
酸素飽和度(sO2) は、機能的ヘモグロビン(すなわち、酸素運搬能力を持つ酸素化ヘモグロビン(O2Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(HHb)に対する酸素化ヘモグロビン濃度の比です[1]。
sO2は現在利用可能な酸素運搬能力がどの程度使用されているかを示します。
動脈血の場合,酸素の98~99%はヘモグロビンに結合した赤血球で運搬されます。血液で運搬される酸素の残りの1~2%は血漿に溶解しています。これは酸素分圧(pO2)として報告される部分です [6]。
sO2 パラメーターは次の製品で測定できます。
FO2Hb – 酸素化ヘモグロビン
血液中の総ヘモグロビンにおける酸素化ヘモグロビンの割合。
FO2Hb パラメーターは次の製品で測定できます。
FHHb – 脱酸素化ヘモグロビン
血液中の総ヘモグロビンにおける脱酸素化ヘモグロビンの割合。
FHHb パラメーターは次の製品で測定できます。
FHbF – 胎児ヘモグロビン
血液中の総ヘモグロビンにおける胎児ヘモグロビンの割合。
FHbF パラメーターは次の製品で測定できます。
ctBil – ビリルビン
ビリルビンは、ヘモグロビンのヘムグループの黄色の分解代謝物です。これは、その生産部位である細網内皮系から、血液により肝臓に運搬され、そこで生体内変換されてから、胆汁中に排出されます。皮膚が病的に黄色に変色する黄疸は、組織におけるビリルビンの異常な蓄積に起因するものであり、血中ビリルビン濃度の上昇(高ビリルビン血症)を伴います。
ctBil パラメーターは次の製品で測定できます。
ヘマトクリット
Hct – ヘマトクリット
ヘマトクリット、赤血球量と全血量の比
Hct パラメーターは次の製品で測定できます。
参考文献
- CLSI. Blood gas and pH analysis and related measurements; Approved Guidelines. CLSI document CA46-A2, 29, 8. Clinical and Laboratory Standards Institute, 940 West Valley Road, Suite 1400, Wayne, Pennsylvania 19087-1898 USA, 2009.
- Higgins C. Parameters that reflect the carbon dioxide content of blood. www.acutecaretesting.org Oct 2008.
- Wettstein R, Wilkins R. Interpretation of blood gases. In: Clinical assessment in respiratory care, 6th ed. St. Louis: Mosby, 2010.
- Robergs RA, Ghiasvand F, Parker D. Biochemistry of exercise-induced metabolic acidosis. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2004; 287: R502-16.
- Lopez DM, Weingarten-Arams JS, Singer LP, Conway EE Jr. Relationship between arterial, mixed venous and internal jugular carboxyhemoglobin concentrations at low, medium and high concentrations in a piglet model of carbon monoxide toxicity. Crit Care Med 2000; 28: 1998-2001.
- Higgins C. Why measure blood gases? A three-part introduction for the novice. Part 1. www.acutecaretesting.org Jan 2012.
- Burtis CA, Ashwood ER, Bruns DE. Tietz textbook of clinical chemistry and molecular diagnostics. 5th ed. St. Louis: Saunders Elsevier, 2012.
- Engquist A. Fluids/Electrolytes/Nutrition. 1st ed. Copenhagen: Munksgaard, 1985.
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